更新日:2010年3月3日
3月5日(金)
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門田 直之(大阪大学 D2)
On roots of Dehn twists
Margalit と Schleimer は nonseparating curve の Dehn twist の root を初めて構成した.
今回の講演では, nonseparating curve の Dehn twist の root の共役類がある条件を持
つ周期写像と対応付けでき, さらに古典的な数論と対応付けできることを紹介する.
この証明には 松本-Monteinos の定理と Nielsen の定理を用いているのであるが, これ
らの定理の内容にも触れていきたい.
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井戸 絢子(奈良女子大学 M2)
Rubinstein-Scharlemann graphic と Heegaard 分解の distance について
H. Rubinstein と M. Scharlemann によって導入された "graphic" の概念は,
Heegaard 分解を調べる上で非常に有効である.本講演の前半では graphic につい
ての解説をする.後半では,J. Johnson による graphic を用いた Heegaard 分解の
distance の評価と,その議論をさらに精密化することで得られた,より詳細な
distance の評価方法について報告する.
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安部 哲哉(大阪市立大学 D3 学振DC2)
The Rasmussen invariant and Lee's homolgoy of a knot
ラスムッセン不変量はリーのホモロジー(ホバノフホモロジーの亜種)を用いて定義される.
まず最初に,ラスムッセン不変量を研究するモチベーションを述べる.
特にスライス結び目に関することを話す.
後半では,ラスムッセン不変量の評価とリーのホモロジー(のある基底のサイクル)の関係を述べる.
時間があれば,比較的最近 Kawamura と Lobb により独立に得られたラスムッセン不変量の評価が
いつ等号成立するかについて話す.
3月6日(土)
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鄭 仁大 (大阪市立大学 D3)
On a variation of the Gordian complex (joint work with Kazuhiro Ichihara)
We will introduce simplicial complexes by using various invariants and
local moves on knots, which give generalizations of the Gordian complex
defined by Hirasawa and Uchida.
In this talk, we will study simplicial complexes defined by using the
Alexander-Conway polynomial and the crossing change or the Delta-move.
We will show that these simplicial complexes are Gromov hyperbolic
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梅田 早希 (奈良女子大学 博士研究員:スライドセッション)
位相的カオスを利用した効率的な流体混合
流体の混合は,化学工業や生物産業などへの応用が期待される流体力学の分野でも
重要な研究対象のひとつである.1990年代 Boyland-Aref-Stremuler は,braid theory と
Nielsen-Thurston theory を利用して,n 本のロッドの周期的な動きによる効率的な流体の
かき混ぜを提案した.このアイデアは多くの人がコンピュータシミュレーションや実験で研究している.
今回のスライドセッションでは,この Boyland たちのアイデアと,彼らの装置の問題点に対する
ひとつの回答として提案した hypotrochoid curves を利用したかき混ぜ装置,実際に行った実験を紹介する.
また,Finn-Cox が導入した ghost rods の概念も簡単に紹介したい.
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三浦 嵩広 (佐賀大学 M1)
絡み目の flat braidzel surface について
L. Rudolph により導入された絡み目の braidzel surface の特別な場合として,
絡み目の flat braidzel surface が定義される.
braidzel surface が任意の(向き付けられた)絡み目の Seifert surface として
与えられることは中村拓司氏により既に示されているが,この講演では flat
braidzel surface についても同様のことを示す.
また,絡み目がもつ braidzel surface の最小種数として中村 拓司氏により
定義された braidzel genus と,そのflat版である flat braidzel genus の間の差
についても考察する.
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岡田 雄希 (神戸大学 M2)
The differences of Alexander polynomials caused by a single crossing change
$10_{132}$ や $5_1$ から1回の交差交換で得られる結び目の Alexander polynomial の特徴付けが
研究されており, 本講演ではその特徴付けから得られた結果について紹介する.
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石原 海 (埼玉大学 学振PD)
Parameterization of knot tunnels and its application
Cho と McCullough によって,
tunnel number one knot とその unknotting tunnel の組が有理数の列と0,1の列でパラメータ付けされることが示された.
本講演ではこのパラメータ付けについて解説するとともに,その応用に付いて考える.
3月7日(日)
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大城 佳奈子 (広島大学 D2 学振DC1),
張 娟姫 (広島大学 D2 文部科学省国費外国人留学生)
Invariants of handlebody-links using symmetric quandles
A handlebody-link is a union of handlebodies embedded in the 3-sphere considered
up to ambient isotopy. By considering the spines of handlebodies, handlebody-links
can be regarded as spatial graphs up to (isotopy and) IH-move. We give new invariants
of handlebody-links using symmetric quandles.
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鎌田 直子 (名古屋市立大学)
twisted link のカンドル (鎌田 聖一氏との共同研究)
閉曲面上のI 束(I は閉区間)内の結び目の同型類をさらに曲面の
stabilization と destabilization で割ったものを安定同値類といいます.
特に,閉曲面が有向閉曲面のとき,結び目の安定同値類は仮想結び目と自然に同一視さ
れることが知られています.Kauffman が導入した仮想結び目は結び目ダイアグラ
ムの Gauss Code に着眼をおいた結び目の拡張で,それには Jones 多項式, 基本
群, カンドルなどの結び目の不変量が自然に定義できます. 一方, Bourgoin が導
入した twisted knot は閉曲面を向き付け不可能な曲面も許した場合の結び目の安
定同値類に対応します.twisted link に対しても Jones 多項式, 基本群などが定
義されます.twisted link のカンドルを導入し,計算例を紹介します.
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吉田 佳代 (大阪市立大学 M2:スライドセッション)
プリオン蛋白質の数学的モデルについて
プリオン蛋白質とは, 狂牛病の原因ではないかと考えられている蛋白質である.
正常プリオンと異常プリオンが出会うと, それらから異常プリオンが生成される
といわれているが, このときどのような仕組みで異常プリオンに変換されるか?
ということが狂牛病において最大の問題点とされている.
この問題について数学的に議論するために, 河内明夫先生はプリオンタングルとよばれる
プリオン蛋白質の数学的モデルを提案された. 今回, プリオンタングルの分離性
について定義し, 非分離なプリオンタングルの特徴について発表する.
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逆井 卓也 (東京工業大学)
Invariants of homology cobordisms of surfaces and their applications
曲面のホモロジー同境のなすモノイドや群について、まず定義や背景を
述べ,それを調べる道具として,Magnus 表現や torsion 不変量を紹介します.
時間が許せば,結び目への応用(合田洋先生との共同研究)や
Cha-Friedl-Kim によるホモロジー同境群のアーベル化に関する最近の結果と
その発展についてもお話しします.
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